世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

「炎狩人名を決めに、帰ってきたんだよな」

 ホテルに入ってくつろぎながら、端夜が言った。

「端夜につけてもらおうと思ってるんですけど、何かアイデアありますか?」

「えー。コイツネーミングセンスないよ」

 迅斗の方がなさそうな見た目してるけど、という言葉は飲み込んで、端夜の次の言葉を待った。

「いや、俺が提案するつもりなのは、俺が考えた名前じゃないから」

 自覚あり発言にも聞こえる発言。

 端夜のネーミングセンスが悪いというのは、本当なのかという疑問はさておき。

 覚悟が決まったら言うという、炎狩人名にしたいしておこう。


 布団に入る直前に、深く深呼吸してから言った。

「覚悟決まったから、炎狩人名、言ってもいいか」

「うん」

 期待と不安と、様々感情が入り混じ合いながら、頷く。

「サクヨ。桜に夜」

「それ、姉貴のやつじゃねえの」

 その迅斗の一言で、ちょこんと見え隠れする耳が真っ赤に染まる。

「いや、キミハにつけるのが、姉の想いに添うのかは分からないけど、つけたいって思ったから」

 照れを隠すように、言葉を紡ぐが、紡いでいくごとに、更に顔が赤くなっていく。

 だけど、その言葉に感情が溢れてしまった。

 涙が頬を伝っていく。

「ありがとう。大切にするね」


 朧月(おぼろづき)の灯る夜、春の風は優しく頬を撫でた。

 桜の香りがわずかに漂い、光をまとって咲く。


 そんな情景を想像して、私は眠った。