世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 新一年生の寮から私は端夜と迅斗へ手紙を書いている。

 炎月(えんげつ)講師に、手紙を出したいというと、明日の落下地点に届けてくれると言った。

 炎狩の郷学院に合格した旨を書こうと思ったけれど、直接伝えたて喜ぶ顔を見たいと思ったから、書かなかった。

 代わりに、入試で作れていなかったハーバリウムを「迅斗へ」と書いて、送った。


 だが、その一か月後、里帰りをして炎狩人名を決めるようにという、課題を出された。

 その言葉を聞いたとき、端夜につけてもらおうと決めた。

 私が炎狩人になれたいと思えたきっかけだから。

「またね」

 試験を受けた日の記憶を思い起こしながら、道を歩く。

「今日って、燈の玉、どこに落ちたか分かりますか」

「ああ。あそこの道の方だよ」

 燈光(ひこう)駅で降りるように、という講師の言葉は正しかったらしい。

 おじいさんにお礼を言って、その方向に歩いた。


 黒いマントを被った人がぽつりぽつりと視界に移る。

「あ、やっほ~」

 なかなか見つからず、疲れ果てていた私に満面の笑みで話しかけてきたのは、宵華先輩だった。

 知り合いがいたということに安心してほっと、一息つく私に、矢継ぎ早に質問が飛んでくる。

「何してるの? てか、試験受かった? あと、炎月講師ってまだいる?」

「受かりましたよ。炎月講師もいますよ」

「お⁉ マジ やったじゃん 炎月講師いるんだ~。今度行ってみようかな」

「炎月講師、好きなんですか」

「うん。恩師だよ」

 宵華先輩には珍しく空白のある声。


「あ。宵華」

「今回こそは覚えてくれてたね」と言って、頭を撫でようなとする宵華先輩の言葉をガン無視して、続ける。

「キミハ。どうしてここにいるんだ?」

 受かりましたよ。

 そう口を開こうとした瞬間、宵華先輩にその言葉を取られた。

「受かったってさ。それで、一時帰省なんだって」

「よかった」

 その声に、端夜の心の不安がほどけていく音が聞こえた。

「端夜、受からないと思ってたの?」

「いや。受かると思ってたが、想像すると少し怖くてな」

 真摯に考えてくれていた、そのことが伝わってくる言葉に胸が熱くなる。

「ありがとう」