世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 昼食を食べ終え、すいてきたホワイトボードの方へ向かう。

 数字の羅列を追いながら、受験番号の22を探す。

 今日  1-4公園  2-1校舎裏・森  
 明日  3-2砂場   4-6工場現場  5-8障害部屋1 6-10プール
 明後日 7-7第三教室・迷路  8-5障害部屋2  9-9農場  10-3障害部屋3

 メモ帳にその字を書き込んで、向かう場所を確認する。

 砂場やプールって言うのは、砂漠や海、川を想定した試験なのだろう。

「やっほ」

 振り返ると、根から軽い雰囲気を纏った長髪の女の子。

 同世代のようにも見えるが、少し幼げのある雰囲気。

「私はヤイルだよ。ね、実技一回目どこ?」

 馴れ馴れしい口ぶりだけど、怒る気とかにはならなくて、自然にしみ込んでくる。

「キミハだよ。一回目は公園だよ」

「あー。違うか。私はね、受験番号13で砂場なんだ」

 喰い気味に、楽しそうに笑った。


 入口に貼っている地図を頼りに、一回目の会場に向かう。

 背丈ほどの草が生えていて、歩くのが物凄く大変。

「では、これから一回目の一次試験を始めます。燈の玉を見つけましたら、終了時に来る試験官にお渡しください」

 十人ほどの受験者が集まったところで、トイレの近くのスピーカーから声が聞こえてきた。

 私より五つほど上の男性が一歩前に出て、指示を出していく。


 そそくさと手早く動いているほかのメンバーに、焦りを感じ、心に鞭を打って探し出す。


 草をかき分け、遊具に駆け上がり、燈の玉がないか慎重に探す。

 絶対に、炎狩人になりたい。

 きっと、この会場にいつ人達は全員、同じ気持ち、だから絶対に負けられない。


「あの、これって」

 恐る恐る尋ねる私よりも都市の小さな女の子。

「凄」

 指を指す方向を見ると、赤い真ん丸の燈の玉。

 本物よりも、光は少ないけれど、かわいらしい雰囲気。


「見つけたって」

「お」

 声を潜めて、小走りでみんなが寄ってきた。

「やった」

 指示を出していた男性が無邪気に笑って、場が和む。


「終了です」放送が鳴り、試験官にその燈の玉を手渡した。


 真剣にやるのは必要だけど、負けるもんかって気を張るよりも協力プレーを大事にすることが大切だということを少しばかり痛感した。


 視界を妨げる大木を避けながら、ボールでリフティングやドリブルをしながら、がれきを引っ張り出しながら、踏み出すごとに埋もれていく砂に翻弄されながら、潜ったり、泳いだり。

 必死に燈の玉を探した。

 十の試験を終えた頃には、顔が暑さで真っ赤になって、体中から汗が噴き出していた。

 やり切った感と疲労感に苛まれながら、地面に倒れ込んだ。


 目覚めると、昨日寝た布団の上だった。

 時計はすでに十時を回っていて、合格発表の時間を一時間前に迎えていた。


 合格発表の場所は、人が賑わっていて、嬉しがる声、悲しむ声が飛び交っている。

 高々と大きく掲げられた紙。

 緊張で鼓動が高鳴って心臓が痺れる。


 あった。

 19番と36番の間。


 やった。

 喜びとともに、自然と涙が込み上げてくる。

 よかった。


「お。キミハ」

 実技試験の前に声をかけてきた、ヤイルが手を大きく振る。

 歓喜している私を前に、混乱の表情をして、笑った。

「確かに、試験大変だったけど、でも、そっか。確かに、凄く嬉しいもんね」

 太陽のように、眩い微笑みに私は心を突き動かされた。