世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 目覚まし時計を見ると、時刻は四時十三分。

 明日のテストのことを考えると、緊張が止まらない。

「少し夜風でも浴びるか」

 寝ている二人に気を使いながら、静かに布団から出た。


 心臓の鼓動、独り言だけが響く、静かな朝。

 迅斗が昨日見つけた燈の玉のおかげで輝く太陽がとてつもなく眩しく、美しい。

 不安な心に、炎かな希望が芽生えた。


 部屋に戻ると、二人が起きていた。

「ここからだと、会場が遠いから、早めに出発しようと思ってな」

 リュックに荷物をそそくさと詰めている。

「炎狩人の仕事もあるだろうし、申し訳ないので一人で行きますよ」

「いや、駅までは付き添おう」

 私の不安や緊張を見透かしたような顔をして、肩を叩いた。


 一キロほど歩いたところで、昔の映画などで見るような駅が見えてくる。

 指定席を買って、木の匂いがする電車に向かって足を一歩踏み出す。

「頑張れ」

 手を掴み、優しく握られた。


 汽笛が響き渡り、電車が発車する。

 ぬくもりがまだ手に残っていて、温かい。

 遠ざかっていく駅舎に手を振る二人の姿が見える。

「頑張る」

 二人の姿が見えなくなると、私は心を落ち着けるように、息を吸う。

 窓の外は、電影風景や神社の鳥居、子供たちが駆けていく公園、たくさんの人達がこの世界に生きているということを感じる。

 電車は寂れた駅で止まり、炎狩の郷学院の入試を受ける人が続々と降りていく。


 試験内容は、この世界の地理や気候に関する筆記テストと仮の燈の玉を探す実技テストで構成されている。

 炎狩の郷学院の校舎が見え、鼓動を抑えるように、深呼吸した。


 学校の中に入ると、様々な年齢層の人が会場に埋もれるほど、集まっている。

 入り口で、座席表を受け取り、その通りの席について、まずは筆記試験を受ける。

 全員が席について、会場が静まり返ったところで、試験監督が説明を始める。

 鼓動が高鳴り、どうしても収まらない。

 端夜が握ってくれた手をお守りのようにして、深呼吸。

「はじめ」

 鋭い声が会場に広がり、一気に物音が広がっていく。

 スーと深く深呼吸して問題を開いた。


 問一 雨の多い地域と少ない地域で、自然の景観がどのように異なるのか考えて書きなさい。

 問三 特定の地域で強い風が吹くる原因、またその風が人媚tpの暮らしにどのような影響を与えるのか考えて書きなさい。

 問八 山地や平地はどのように構成されるのか。また、それぞれの地形がどのように人々の生活に影響を与えるのか書きなさい。

 全て解き終わったと、手を休めた時には、鉛筆を置くことなく「止め」の声が鋭く響いた。 


「では、以後一時間をお昼休憩とし、一時間後、ホワイトボードに書かれたグループの場所に移動してください」


 椅子を引く音が会場に広がり、端夜から昨日貰ったおにぎりを取り出して、食べた。

 握られた手の形がかすかに残り、コメの一粒一粒が不思議と生暖かく優しく感じる。