世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 冬の足跡が近づく秋の終わり。

 踏みしめる地面が、高揚やイチョウのパリッという音が霜の踏み込ごちのいい音に変わっていく。

 そして、薄紅色の雲が浮かぶ空から、ウォーターブルーで薄い水色の雲の少ない空へ変わっていく。


 霜が草を覆い、静けさが凍てつく空気に溶け込む。

 雲が低く垂れこみ、灰色のカーテンが広がる。

 今日は、落下地点に向かう途中で、燈の玉が見つかったという報告が探査機に入った。

 静寂が辺りを包む中、冷たい風がそっと肌を撫でた。

 空から静かに冷たい結晶が舞い降りる。


 この世界で初めて見た雪。

 銀色の粒が風に揺られながら、地上に向かって落ちていき、そのたびに地面が少しずつ白に染まっていく。

 木々はその重みで枝をしならせ、足音は雪のクッションに吸い込まれていく。


「ドン」

 迅斗が鋭く雪玉を投げつける。

 ほお、というように、投げつけられた雪玉をじっと見つめる。

「やり返さなきゃつまんねえだろ」

「そういうことか」

 笑い声が響き、赤くかじかんだ手で雪玉をこねて、次々と投げ合う。

「おっ」

「やられた」

 様々な声が響き、真剣ながらに、ポロリと楽しさが溢れる、涙のような時間。


 そんな冬もまた、風のように過ぎ去っていき、春がやってくる。

 黄色やピンク、赤、色とりどりの花が咲き誇り、心がほっと明るくなる。

 でも、それは、炎狩人になるための学校入試が近づいている証拠でもあって、それを実感するたび、走っている最中のような腹の痛み。

 緊張と胸の高鳴りが心に現れる。

 昼は端夜と迅斗と燈の玉探しに朝から同行して、夜はできる限り貰った本を読んで勉強。

 それが最近の日課。


 受ける学校は、二人の母校である、炎狩の郷学院。

 申込用紙に書く二人の推薦人は、端夜と迅斗に名前を書いてもらった。

 烈夜先輩に書いてもらうかとも提案されたが、炎狩人になるのを応援してくれたのは二人だから。

 二人の名前で合格したいと思ったから、断った。

 そう、無理を貫いたからには、絶対合格して見せる。


 唐突に、端夜がクイズを出してきたり、それに便乗して迅斗が煽ったり、それに悔しくなったりしながらも、勉強を欠かさないようにしている。

 それにプラスして、体力をつけられるように、一人で走ったりストレッチをしたり、体力も欠かさずに行う。

 どんなに、眠くても、めんどくさくても、辛くて絶対に欠かさない。

 鉛筆を握りしめた動かすと少し痛む手を握り、闘志を抱く。

 私は、絶対に炎狩人になってやる。

 決めたからには絶対に。

 そこに二言はない。