世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

「私、やっぱり炎狩人になれません」

 呟くように、だが、はっきりと言った。


 目を閉じた瞬間、幻のように消え去ってしまうような不安が頭をよぎってしまう。

 端夜が今、横にいる、その確証が欲しかった。

 咄嗟に、私は端夜を抱きしめてしまった。

 端夜は優しく私の頭を撫でる。


 悔しい。

 本当はなりたい。

 端夜や迅斗と、見習いとして、ではなく一人前の炎狩人として、共に歩みたかった。4

 だけど、私は八月の十八日に死んでしまう。

 だから、炎狩人の学校に行ったところで、卒業できずに死ぬ。

 頑張って、頑張って、それなのに、あと一歩で死ぬ。

 そんなの、悲しすぎる。 私には絶対に耐えられない。

 本当はなりたい。

 だけど。

 怖いんだ。


 冷たい感触。

 顔を上げると、端夜のマントに丸い水玉が浮かび上がっていた。

 雨に濡れたのかな。

 でも、そうじゃなかった。

 私が履いている青のズボンにも、一粒の水玉が浮かび上がった。

 それに続いて、大粒の涙が服を湿らせる。


「ごめん。何でもないから」

 何でもなくてこんなに泣くわけないのに。

 何度拭っても、次の滴を後を追う。

 拭えば、拭うほど、悔しさや苦しさがあふれ出てきてしまう。