世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

「もう暗くなってきたから、休むか」

 空を見上げると、空に丸い月が出ていた。

 黒く厚い雲と対照的に、黄色く光る。


 端夜はリュックを下ろして、テントの袋を取り出した。

 袋を開けて、慎重に広げると、撥水性の生地が月光を浴びて、白く輝く。

 ペグを地面に押し込んで、ロープをしっかりと張っていく。

 フレームを組み立てると、金属がかみ合って、テントの形になっていく。


 投げ捨てるように、テントの中にリュックを置いて、その隣に座り込んだ。

 そして、座ることを促すように、端夜はリュックの反対隣りを叩いた。

 荷物を隣に置き、私はゆっくりと膝を折った。


「腹、減ってるか?」

「少しだけ」

 カバンの中身を探って、食べ物が入ったビニール袋を取り出した。

 バーナーのガスのつまみを静かにひねる。

「シュー」という小さな音が聞こえると、箱から一本のマッチを取り出し、鋭くこする。

 赤い光が鋭く瞬き、わずかに芯を震わせながら、端夜の顔を照らした。

 バーナーにマッチを傾けて、、炎を移した瞬間、赤い炎が勢いよくバーナーをから飛び出した。

 急いで、ねじを回して、段々と炎の勢いが弱くなり、酸素量のおい青色に変わった。

 ガスべーなーの上に三脚を、その上に水筒の水を移したケトルを置き、湯気が立つのを待つ。


 ふわりと湯気が立った。

 最初は、気を付けなければ見えないほど控えめに。 だが、段々とくっきり形を帯びていく。

 黄色と赤のパッケージのカップラーメンを二つ取り出して、ケトルの中のお湯を流し込む。

「タイマーは持っていないから、一緒に数えるか?」

「そうですね」


「いーち、にー、さーん、よーん…」

 声の余韻を味わうように、ゆっくりと数えていく。


「ひゃくはちじゅう」

 数えている声が心地よくなってきた頃、声が跳ね、終わりになる。


「どうぞ」

 端夜から割りばしを受け取って、ふたを開けると、スープの香りに包まれた。

 箸で麺をかき混ぜて、一口。 口に運ぶ。

 心がほどけていく。

 ぐっと我慢していた、考えないようにっしていたことが溢れてくる。

 零れだしてくる涙を堪えて、ラーメンを勢いよく啜る。

 温かさと塩気がじんわり心の奥の方にまで広がっていく。


「ハー」

 汁まで飲み切って、ほっと一息。

「ごちそうさまでした」

 隣の端夜に合わせて、丁寧に手を合わせた。

「ゴミはこの袋に入れていいぞ」

 カップと割りばしをその袋に入れて、私は夜空を眺める。

 星のない真っ暗な空。