世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 朝、目を開けると、すがすがしい青空だった。

 美しい。

 そう、まさに感じながら、私は深呼吸した。

 心が安らぐような感じで、暖かくとてもいい気分。


「おはようございます」

 端夜が眠たそうにあくびをしながら、やってくる。

「ああ」

「端夜。今日はどこ行くんだ?」

 迅斗がそう聞くと、端夜が懐から探査機を出した。

「四キロ先の家が多い地域だな」

「そうか。うまくいくと、いいな」

 迅斗が、よっしゃあと気合を入れるように声を上げる。


「近くの店で朝飯を食べたら、一時間ほど歩くからな」

 歩く。

 最初の方は二人に話しかけるくらいの余裕があったのに、三十分くらい経った今は、ぜぇぜぇと、肩で息をしてしまう。

「こんくらいで、疲れるか?」

 余裕だろというように、誇らしげだ。

「慣れてないんだから、仕方ないだろうが、もう少し体力をつけて方がいいだろうな」

「分かってますよ」

 なんとか、やっと、目的の場所に辿り着いた。

 やっと、終わった。

 そう思ったのに、本番はここから。

「先輩俺らはどこ探せばいいですか?」

「そうだな。あそこの家までは終わったから、こっちの家を頼む」

「了解しました」


「じゃあ、一軒ずつだな」

「カノウキミハ、お前はこの家を調べてきてくれ」

 古ぼけていて、屋根の瓦がめくれている、見るからにお化けでも出そうな家。

「あの、どなたかいらっしゃいますか」

 ドアを叩く。

「燈の玉がお庭にあるかもしれないので、確認させていただきたいのですが…」

「あ? 燈の玉か」

「物には触るなよ」

 そう言い残して、扉を閉じた。

 じゃあ、庭の方を探すか。

 見るからに、枯れた芝生と風で吹いてきたごみが散乱していて、やる気をなくす。

 ハア。

「やるしかないか」

 せっせと、芝生やごみをどかして、探す。

「あの。手伝いましょうか」

 さっきの、男性。

 やさぐれた顔から、申し訳なさそうな顔に変わっていた。

「あ。すみません」


「燈の玉、なさそうですね。ご協力ありがとうございました」

 深々と、頭を下げて、立ち去ろうとした。

「ああ。そういえば、バッジをつけていないのは、どうしてなんですか?」

「えと、見習いというか、何と言うか」

「そうなんすね。親父が、炎狩人好きで、会ったら絶対手伝えよって言われたんで。こんな言葉、何にもならないような気もしますけど、応援します」

「ありがとうございます」

 怖そうと、思ってしまった。

 だけど、いい人だった。


「さっきの家、探し終わりました」

「そうか。次はこの家を頼む」

「はい」

 その家に向かって、走り出す。

「あ。待て。炎狩人になる学校の件だが、来年の三月に入学試験があるらしいと、先輩が言っていた」

「三月。そうですか」

「ああ。だから、それまでは俺と迅斗に同行してもらいたい」

 その顔は、心なしか赤い。

「強制ではないが、勉強にもなるからな」

「よろしくお願いします」

 私はそう、頭を下げた。