世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 翌日、私は端夜と迅斗と他の炎狩人と一緒に、燈の玉を探していた。

 茂みへ移動し、草の中を探る。

 汗で煌めく額を拭って、空に灯る太陽を眩しそうに仰いだ。

「炎狩人。少しだけ興味が湧いてて」

「そうか」

 端夜は全く表情を変えなかった。

「お前は、なぜそう思った?」

「世界が美しいかはわからない。だけど、炎狩人は美しいと、思ったから」

「炎狩人が美しい、か。 なるほどな。 確かに、そうだな」

 目の前で必死に燈の玉を探す炎狩人を見上げた。

 見惚れるように、声を吐き出した。

「応援させてもらう」

 仄かに笑う。


「ほら、早く仕事に戻るぞ」

 正義感が強くて、野望があって、そのために眩うほどに輝いて。

 夢。 だなんて私らしくない。

 夢なんか、私には一度もなかった。

 どうせなれないのに、願うなんて無意味だって思ってた。

 でも、せっかく異世界に来たんだから、私らしいなんて自分しか知らないし、挑戦してみるのもいいのかもしれないな、と思う。

 そう思った途端、逃れられない欲望のように、なりたいという思いが込み上げてくる。

 胸が高鳴って、心が焦がれる。

 やっぱり、なりたい。

 逃れられない欲望のように、今の私はただ、それだけだった。

 それが、敵うことのない運命だとは知らずに、純粋に。