クッキーを食べながら、ユキはさきほどの悲しい気持ちを思い出しました。

「どうしたの?」
「ねぇ、ママはどうやってワクワクするお話を書いているの?」

ユキのママは、小説家です。とっても楽しい物語を、たくさん書いています。

「本の中には、たくさんのワクワクがあるけど、現実にはないでしょう?」
「あら? そんなことないわ。自分が感じたことや、体験したことを元にして、物語を作っているのよ」

ユキはびっくりしました。

だって、ママが書いたお話は、女の子がお菓子の国の王子さまとまほうのお手紙をやりとりしたり、天使から羽をもらってお空をさんぽしたり、ユキが体験したことのないことばかり。

「まわりをよく見てみてごらんなさい。勇気をもって、自分から飛び込むの。そうしたら、ユキもきっと見つけられるわ」