『……っ……』



胸に手を当てなくても心臓がドキドキ言ってるのが分かる。

それともこの鼓動は…孝之かな…?






「やばい……止まらなくなるから…今日はここまでな。」




孝之は俯いて私の手を握る。深く絡み合う指と指。








『私……孝之とならいいよ?』



私がそう言うと孝之は驚いて顔をあげる。



「バカ。無理すんなよ。俺だって本気で好きな女……そんな軽く抱きたくねーんだよ。」




孝之は笑いながら私の頭を撫でる。

髪をすり抜けていくその指に今まで何人の女の子が触れられてきたのかを考えると悔しくなった。





『孝之が…大事に思ってくれてるのは分かるよ…?だけどさぁ………』






「ふふっ…。あず、誘ってんの?」


孝之は私をからかうようにして笑う。





『もうっ…からかわないでよぉ…』





「ごめんごめん…。でも俺はあずとの関係を大事にしたいんだ。せっかく言えた気持ちだから……。
これからいっぱい同じ時間を過ごせるんだから…」