人気バラエティ番組の収録スタジオに到着する柚と綾人。
今日のテーマは「芸能人兄妹ペアでどれだけ仲良いか診断!」という企画。
共演者たちはすでに「仲良すぎ双子」扱いで期待が高まっていた。

◆スタジオの開始直前

MCがふたりを紹介すると、会場から拍手と笑い。
カメラが柚と綾人を捕らえる中、すでに息ぴったりの雰囲気。

MCの第一声は、
「では、早速ですが問います――“兄妹ミッション”、最初のテーマは『弟=お兄ちゃんを笑わせられるか』!」

と指示が出る。

綾人はにやっと笑って答える。
「簡単だね。柚の“素”を引き出せばすぐ笑うよ」
柚は眉をぴく、と反論する。

◆最初のミッション:ジェスチャークイズ

柚が後ろを向き、「綾人が題材を当てるジェスチャー」を披露。

テーマは「生まれて初めてドーナツを食べたとき!」
柚の大げさなリアクションに、綾人も観客も大爆笑。

「それ、どんだけ甘党なんだよ!」とつっこむ綾人。

そのままMCからの次の指令が飛ぶ。
「では次、『お兄ちゃんに触れられたらイヤなこと』をジェスチャーで表現してください!」

柚はわざと距離を取り、両手を広げて「KEEP OUT!」とビシッとポーズ。

実況「ああ、これは……“お兄ちゃん禁止令”ですね?」

観客(爆笑)。

綾人はびっくりしつつも、「え、俺、触られたら怒られるのこれ?」と顔を赤らめながらも笑う。

◆収録裏:本音の瞬間

休憩中、ディレクターがふたりにそっと話しかける。

「君たち、舞台裏どう?仲良すぎて画になるなあ。でも『お兄ちゃん禁止令』、演出?」

柚が苦笑して言った。

「いや、台本じゃなくて私が言ったんです。現場で本気で“触らないで”って気持ちが湧いて……」

綾人がそっと柚の言葉に続く。

「俺としては……独占したいって思ってしまうんだよな。結局、アイドルだからって期待されるけど、心のどこかで、誰より近くにいたいって」

二人は目を合わせる。

そこには、テレビではなく“本音の視線”があった。

◆収録ラスト:共演者の質問コーナー

最後に共演者が「この先、恋をするとしたら?」と質問。

柚がにこっと言った。

「……お兄ちゃんだったら、どうしよう?」

スタジオ、大笑い。
綾人は一瞬戸惑いながらも、真顔で言った。

「……俺がイヤって言ったらどうなるのかな?」
一言だったけれど、その空気が、ふたりの異なるけど重なる想いを静かに示していた。



🌙柚のナレーションメモ

見られることは仕事の一部だけど、
誰よりも近い存在を見てほしくない自分がいた。
それでも、あいつとなら、笑い飛ばせる自分になる気がする。