朝10時、リビング

ソファに転がってテレビを観てるのは柚。
膝に毛布、隣にはお菓子の袋。

柚:「今日だけは誰も私を動かせないからね……ふはは」

床には、結斗と依がゲーム機のコントローラーを持って座っている。

依:「ちょっと、ゆい!!アイテム投げすぎっ」

結斗:「だって〜そっちが先に赤こうら出したじゃん!」

キッチンカウンターにもたれかかる理人。スマホ片手に音楽を聴きながら、リズムに合わせて足を揺らす。

理人:「……BPM128……悪くないかも。今日中に一曲まとめるか……いや、寝よう」

リビング隅でうつ伏せになって本を読んでる怜。起き上がる気配ゼロ。

怜:「……ねぇ、誰か冷たい水取ってきて」

詩:「怜姉が“ねぇ”って呼んだら動かないって、昨日決めたでしょ?」

怜:「……じゃあ、詩?」

詩:「却下でーす♪」



一:「お昼どうする?」

朱莉:「作る元気ゼロ。ウーバー?」

全員:「賛成〜!!」

綾人(スマホ操作中):「ピザ、ハンバーガー、韓国チキン、寿司、ラーメン、どれがいい?」

郁斗:「ちっきん!!!」

柚:「郁斗が言うなら、チキンだね〜」

怜:「いや、寿司でしょ。和風が落ち着く」

理人:「俺はバーガー……でも全部頼めばいい話じゃない?」

依:「天才! りっくん今日だけ好き!」

一:「(財布握りしめながら)……休日は財布が軽くなる法則」




ピザにかぶりつきながら動画鑑賞してる柚&綾人。
子どもたちはクッション山を作って秘密基地ごっこ。

結斗:「こっちは男子の基地ね!」

依:「じゃあこっちは女子チーム。侵入禁止!」

詩:「わたしは両方行き来するスパイだから」

郁斗:「どぉぉぉぉぉーん!(山くずし)」

理人:「……静かになったら寝ようと思ってたんだけどな」

怜:「……わたしも」

柚:「静かになる日は来ないよ。うち、10人いるもん」

綾人:「でも、それが早坂家の“普通”だよね」





テレビで自分たちの再放送を見ながら、ソファにギュウギュウに並ぶ10人。

テレビから:

「結斗くん、たまごは上手に割れましたか〜?」
「えっとぉ……わかんないっ!」

一同:「あははははっ!」

怜:「……なんか、こうやって見ると」

理人:「うるさいけど、悪くないよな」

詩:「うん。家族って、うるさいものだもん」

依:「……次のゴロゴロデーはいつ?」

柚:「明日からまたお仕事だけど、次の休みもゴロゴロしよう」

朱莉:「……家族でダラけるのって、いちばん贅沢かもね」