愛を知った日

そう話しながら歩いていると奏がいきなり強く手を握ってきた。何かと思って俺も握り返しながら
「どした?」
と優しく聞く。
すると奏は安心したように話し始める。
「私ね、鳳蝶くんに出会えて本当に幸せ。あの時鳳蝶くんがナンパから助けてくれなかったら私達は出会ってなかったんだよね」
「そうだな」
俺は静かに返事をする。
「普通私の病気知ったらみんな離れていくのに鳳蝶くんはそばに居てくれた」
「離れるわけねぇだろ」 
こんな良い子を病気があるからというだけで離すわけがない。
「ふふっ。鳳蝶くんのそういうところ好きだよ」
「奏は自分のこと過小評価しすぎだよ。奏は優しいし頑張り屋さんだ」
「それは鳳蝶くんも同じだよ。どんな時も助けてくれて支えてくれてありがとう」
「俺こそ奏に支えられてるよ」
出会った頃から奏は自分を過小評価する節がある。俺が優しいと言うのならそれは奏のおかげだ。奏が俺に優しさをくれるから俺もそれにふさわしい人間でありたいと思う。優しさを返したいと思う。
さらに奏は続けた。
「私それまでね、なんとなく人を信じられなくて孤独だった。親でさえもなんか一歩引いてた。でも鳳蝶くんといると1人じゃないって思えるの」
それは俺も同じだ。