愛を知った日

「奏の様子はどうなの?」
「まだ目覚めてないんだ…」
「そっか。奏が好きそうな本持ってきたんだけど」
「喜ぶと思う」
「2人ともなんか湿っぽいな〜」
「湿っぽくもなるだろ」
「そうだけどそういうのも奏ちゃんに伝わっちゃうんじゃない?」
「確かにそうだね。笑顔で行こう」
「そうだな」
そんなやり取りをして病室に入ると奏の父親と碧がいた。
「みんな、来てくれたんだね。ありがとう」
父親は立ち上がって笑顔で迎えてくれたが、碧は暗い顔で父親に抱っこされていた。
「いえ。当たり前です。奏の友達ですから。むしろ早く来れなくてごめんなさい」
明美が言う。
「そんなの気にしなくていいんだよ。みんなも忙しいだろう。奏、みんなが来てくれたよ」
父親が眠っている奏に話しかける。
「碧くんも久しぶりだね」
明美が不安そうな碧に話しかけた。
「うん…」
途中で父親が入ってくる。
「ごめんね。こんなに目覚めないのあんまりないから不安がってるんだ」
「大丈夫だよ。お姉ちゃんは絶対に元気になるよ」
「ほんと?」
「うん。お姉ちゃんああ見えて強いもん」
「そうだな」
俺が賛同する。すると父親の腕から降りて奏が寝ているベッドに近づく。
「ねぇね、早く元気になってね」