愛を知った日

「どうして?」
「学校でちょっとやることがあって」
「分かった」
それだけ送って席を立った。鳳蝶くんには言っていないが学校へ迎えに行こうと思った。近頃は寒いためしっかり着込んで家を出る。鳳蝶くんの学校には少ないが行ったことがあるので道は覚えている。
歩きながら蘭ちゃんのことを考えていた。もしかしたら今2人でいるかもしれない。そんな邪念を振り払うように首を横に振り歩き続けた。正門の前まで着きそこで待っていることに決めた。正門は必ず通ると思ったからだ。本当はこんな寒い所に来てはいけないんだと後から思った。
数分後。鳳蝶くんの姿が見えた。声をかけようとした時、蘭ちゃんがいることに気がついた。そして開きかけていた口を閉じた。2人がキスしているところを見てしまったからだ。2人は立ち止まると顔を近づけた。
それを見た瞬間、時が止まった。次に溢れ出たのは涙だった。もう見ていられず2人に背を向けた。それからはどうやって帰って来たかあまり覚えていない。ただ鳳蝶くんには体調が悪くて行けないと嘘をついた。鳳蝶くんはすぐに大丈夫か?と送ってくれた。その事実に胸が苦しくなる。
(でも私、恋愛なんて初めてだしこういう時どうすればいいかなんて分からないよ…)