愛を知った日

何組かの発表を見て俺にもこういう時代があったことを思い出していた。幸せだった記憶。それを考えていると碧の発表が始まった。発表を見ていると明美と奏が小さな声を話しているのが聞こえた。発表会の間も何度か奏の横顔を盗み見ていた。毎回、奏は笑顔で幸せそうな表情をしていて碧の発表になってからはさらに可愛い笑顔になっている。その顔を見た俺は我慢できなくなった。こんなところで言うことではないと分かっていても自然と言葉が出ていた。
「可愛いな。奏好きだよ。」
俺も小声で言ったつもりだったが隣の奏には聞こえたようで驚いた声を出した。それを聞いて俺も自分が恥ずかしくなった。すぐに謝って後で続きを話すことにして発表に視線を戻した。
奏の顔は真っ赤になっていた。俺は平然を装ったが内心では全然集中できずに終わってしまった。
(なんてこと言ってんだ。俺…しかもなんでここで?もっとタイミングあっただろ!これじゃあ振られても何も言えないぞ…)
やがて発表会が終了し片付けを手伝っている間に奏達はトイレに向かった。
俺はその隙に伊月に話しかけた。