愛を知った日

小さく手を振り返し、集中するように合図をする。
その直後、音楽が鳴り発表が始まった。
碧が可愛いのはもちろんのことどの子も可愛い。
「碧くん、可愛いね。」
私の前に座る明美ちゃんがそう言い私もそれに賛同した。ステージを見ていると自然と手拍子と笑顔が漏れる。
次の瞬間。
「可愛いな。奏好きだよ。」
私は驚いてその声が聞こえた隣を見る。私の隣は鳳蝶くんだった。でもその声が聞こえたのは隣しかありえない。
鳳蝶くんも真っ赤な顔をしてこっちを見ていた。
「えっ!?」
内心は動揺していたがここが発表会だということは忘れていなかったので静かに聞いた。
「ごめん。今言うことじゃなかったな。あまりに笑った顔が可愛くて我慢できなかった。」
「発表会終わったら改めて時間くれるか?」
と小声で鳳蝶くんが言ってきた。私はまともに話すことができず、小さく頷いただけだったがそれでも伝わったようでありがとうと言って再びステージに集中し始めた。
私はというとそれからまったく集中できずに碧の発表は終了した。その後も何組かのステージを見たがあまり覚えていない。そうしてあっという間に発表会は終わってしまった。