愛を知った日

歩いている途中、急に鳳蝶くんの歩く速度が遅くなった気がした。
「どうしました?」
「いや、体調は大丈夫なのかなって思って。」
「あぁ…今日はいい感じです。」
「そっか。良かった。」
「はい。」
「最近、あんまり話せなかっただろ?心配だったんだ。」
「ありがとうございます。」
「ああ。元気な姿が見れて嬉しい。」
見るといつの間にか前を歩いていた伊月くんがずんずん前に進んでいる。私達の会話を邪魔しないようにしてくれたのかもしれない。やがて保育園に到着し中に入るとたくさんの子ども達とその保護者でガヤガヤしている。
キョロキョロと周りを見ていると
「こっち!」
私達の方に手を振るパパの姿が見えた。
「さすが席取り名人!見やすいわね。碧は?」
「良かった。もう行ったよ。」
「そうなのね。」
「明美ちゃん、伊月くん、鳳蝶くん今日は来てくれてありがとう。座って。」
「こちらこそありがとうございます。」
「楽しみです。」
そんなやり取りをしていたら司会の先生の声が聞こえて園長先生の挨拶の後ついに始まった。
始めに何組かの発表を見たのち碧の発表の番になった。
「碧の番ね。」
碧がステージに出てくると私達を見つけたようで満面の笑みで小さく手を振ってくる。