愛を知った日

「大丈夫?」
「ありがとうございます。」
助けてくれた男の人は私と同じくらいの年齢で制服を着ていた。髪は明らかに地毛ではない明るさで制服のボタンは何個か外している。チャラ男だとすぐに思った。
私自身、男の人はあまり得意ではない。次の言葉に困っていると
「鳳蝶、終わった?」
「ああ。」
「あれ?この子、めっちゃかわいいじゃん。お名前聞いてもいいですか?」
「伊月、やめろ。」
伸ばしてきた鳳蝶さんが払った。
「悪い。」
「大丈夫です。横沢奏です。」
「奏ちゃん。可愛い名前だね。俺は東川伊月(ひがしがわ いつき)。そして奏ちゃんを助けたヒーローは北山鳳蝶(きたやま あげは)君だよ〜。」
「お前、本当にやめろ。」
「その格好はもしかして近くの通信制?」
伊月くんが聞いてきた。
「はい。そうです。なんで分かったんですか?」
「奏ちゃん同じくらいの年齢だしこの辺で私服の学校はあそこくらいしかないからね。」
「俺らは月桃高校の2年生なんだ。」
「私も2年生です。」
「じゃあタメだね。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「言った途端から敬語…」
「もういいだろ。どこに行くんだ?この辺ああいうやついるから送ってく。」
「そんな。申し訳ないので大丈夫です。」
「いいから。」
「駅です。」