愛を知った日

教室に入るとすでに明美ちゃんが来ていた。
「明美ちゃん、おはよう。」
「おはよ。」
「ねぇねぇ。明日休みでしょ?一緒に出かけない?ちょっと欲しいものもあって。」
「うん。いいよ。」
「本当?じゃあ時間何時がいい?」
「10時くらいでいいんじゃない。」
「じゃあ10時に待ち合わせでいい?」
「うん。場所は後で連絡するから。」
「分かった。」
そして授業を受け、帰ろうとした時スマホが鳴った。
通知を見ると家族の連絡だった。
「ごめーん。碧が熱出したって保育園から連絡来たから迎えに行ってくる。」
「私はしばらく仕事抜けられそうにない。」
「奏、1人で帰ってこれるかい?」
窓の外を見ると朝はあんなに雨が降っていたのに今はすっかり止んで青空だ。
私は大丈夫と返信をしてしばらく使っていなくてバッグの底の方にあった定期券を取り出した。
「奏、今日1人なの?」
「うん。弟が熱出しちゃったみたいで。」
「一緒に帰ろうか?」
「大丈夫だよ。明美ちゃんの家近いでしょ。」
「そっか。じゃあまた明日ね。連絡するから。」
「うん。またね。」
明美ちゃんの家は本当に近い。徒歩圏内だ。
それに比べて私は電車で2駅だ。遠くもないが、近くもない。