占い師は、あの人の幸せを願う彼に、恋をした

反射的に、指先がわずかに震える。
振り返らなくてもわかる。
その声、その間合い、その気配。

「こっちの列、日当たりいいから甘いですよ。
……さっき、ちょっと試食してみたんで」

聡——
彼は、当たり前のようにそこに立っていた。
まるで、最初からこの輪の一部だったかのように。

「ほんとですか? じゃあ、僕もこっちに移動しようかな」

参加者の男性が楽しそうに言って列の向きを変える。
彼女もふっと笑って言った。

「“苺の専門家”がふたりもいたら、心強いですね〜」

「いやいや、僕は素人ですけどね」

聡が肩をすくめて笑う。

「でも、なんか説得力あった。さっきの言い方」

「でしょ。声に妙な自信あった」

私も、少し茶化すように笑って彼を見た。
すると、彼は私に向けて目を細めて、ぽつりと呟いた。

「……昔、よく、こういうの来てたからね」