占い師は、あの人の幸せを願う彼に、恋をした

「うん、ほんとに。……元気だった?」

「まあ、ぼちぼち。……そっちは?」

「同じく、ぼちぼち」

短く交わされる言葉。
けれど、その“間”に、あの頃のすべてが静かに詰まっていた。

沈黙に落ちないように、どちらからともなく口を開く。

「……まさか、こんなところで会うとは思わなかったな」

「うん。イチゴ狩りなんて……ふたりで行ったとき以来かも」

彼がそう言って、少しだけ照れたように笑った。
その笑みが、昔と変わらない温度を持っていたことに、気づいてしまう。

「……あのとき、私、はしゃぎすぎて……3パック分くらい食べてたよね」

「そう。で、帰りの電車で気持ち悪くなって……途中で降りる羽目になった」

ふたりで、ふっと笑った。
あの頃の光景が、ふいに鮮やかに甦る。
胸の奥にしまったまま、もう動かないと思っていた感情の輪郭が、
やわらかく浮かび上がってくる。