占い師は、あの人の幸せを願う彼に、恋をした

「……あれ? もしかして……」

反射的に振り返る。
見覚えのある横顔。
まさか、こんな場所で——

元彼。
こちらに向かって歩いてくるその姿に、

胸の奥の“摘んだはずの何か”が、ざわっと音を立てた。


「え?」

カジュアルなシャツに、少し無造作な髪。
でも、その目の奥にある“まっすぐさ”は変わっていなかった。

「もしかして、聡?」
問いかけた声が、少し震えていたかもしれない。

「あ、やっぱり結月だった? そうかなって思ったけど……話しかけるタイミング、ちょっと探ってた」

彼は、どこか気まずそうに笑った。
私は、うまく笑えなかった。

「……久しぶりだね」

言葉だけをなんとか整えて、形にした。
気まずさを隠すように、ほんの少しだけ、唇の端を持ち上げる。