占い師は、あの人の幸せを願う彼に、恋をした

言いながら、私は視線をテーブルに落とした。
けれど胸の内は、波打っていた。

タロットをめくるときと似てる。
カードに触れた瞬間、何かが走るあの感じ。

今日の朝、自分でシャッフルしたタロットの最後の一枚を思い出す。

——《運命の輪》。

思わず、手の中のカップを強く握っていた。

あのカードは、“偶然のようで、必然の出会い”を意味していた。
流れが切り替わる予兆。物語の転換点。

私は確かに、朝、引いていた。
自分のために引いたはずなのに、まさか、今日、この場所で夏谷さんに会うなんて。

「ねぇ、行こっか?」

梨沙の声に、私はうなずいて席を立つ。

その瞬間——

「結月さん……?」

振り返ると、さっきまで隣の席にいた夏谷さんが、立ち上がっていた。
まさか、声をかけられるとは思わなかった。