占い師は、あの人の幸せを願う彼に、恋をした

午後、いつものパソコンの前に戻って、
入力作業を始めながら、私はふと思う。

──花さん。

その表情のどこかに、私には見えてしまったのだ。

まだ言葉にも仕草にもなっていない、けれど、
内側ではもう確実に育っている“想い”の気配。

これは「芽」ではない。
「気づいていない予感」でもない。

すでに、恋は始まっている。

たとえるなら、つぼみがほころびかけている状態。
日々の会話や視線のすれ違いの中で、そっと育ち、
きっともう、彼女自身も心のどこかでは気づいている。

誰かを大切に想っていることに。
名前を呼ばれるたびに、少しだけ鼓動が変わることに。
その人の笑顔に、言葉に、触れたくなる気持ちに。

──ただひとつ、確かなのは。

その想いの相手は、夏谷さんではないということ。