音の放浪者

「すごーい!風音って歌上手だったんだね!」



私が歌い終わると彩世がそう褒めてくれた。



「いやそんな……」



私がそう話している間に歌の採点が始まる。

前の3人と同じく音程、リズム、抑揚、表現力が加算され出てきた点数は



「え、蓮城と同点じゃん!」



点数が出た瞬間、誰よりも先に彩世が声を上げる。


なんか凄いことになっちゃった……。



「これは風音ちゃんか四輝のどっちかがボーカルだよね」



まあ僕は元々ボーカル志望じゃなかったし、と鳴滝くんは付け加えながら言った。



「俺ボーカルじゃなくていいよ」



「え………?」