転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「私はね、ミサ。これからは秘密裏に動かないでほしい、と思って切り出したの。記憶がなかった当初は仕方がないけれど、今の私はもう、あの時とは違う。こういうことは、お互いに共有し合っていきたい。私が望んでいるのは、それだけよ」

 無論、タロットカードの件はキッカケに過ぎないけれど。

「……分かりました。今後はリュシアナ様……いえ、姫様の意向に従います」
「えっ!? まだ私にも分からないことがあるから、一言声をかけてくれるだけでいいのよ」
「いいえ。その鋭い指摘に洞察力。記憶が戻ったとしか思えない言葉の数々と度量。このミサ。以前のように、姫様をサポートいたします」
「ま、待って! サポートって? 私はまだ、記憶が戻っていないのに、そんなことを言われても困るわ」

 なぜか私の呼び名が『姫様』になっているし。これはミサの中で、私とリュシアナを、ちゃんと分けていた証拠ってことでしょう? あぁぁぁぁ! なんでこんなことに。
 私はただ、タロットカードのことをお父様とお兄様の耳に入れないでってお願いしようとしていただけなのに……って、まだ本題も切り出せていないのに!