転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

 お母様に似た容姿のリュシアナ。
 たったそれだけの理由で贔屓にされ、お姉様が蔑ろにされる原因。そうミサから聞いたのにもかかわらず、お父様とお兄様がここへ来たのは、一度きり。私がこの世界で初めて、リュシアナの家族に会った時だけだった。

 グレティスの件は……いや、それもミサを通した後、私からお父様のところへ行ったのだ。少しでも部屋の外に出たい気持ちもあって。

 それ以外では、二人とも公務が忙しいのか、様子を見に来ることすらもなかった。

「本当に心配しているのなら、何度も何度もここへ来るはずだわ。ミサやカイル、私も困ってしまうほどにね。でも、そんなことは一度もなかった」

 寂しくて言っているのではない。一般論として、不思議に思っていたのだ。

「だけど、会えば無関心でないことは一目瞭然。最初にミサが教えてくれたように、お父様もお兄様も、私をとても大事に想ってくれていたわ。記憶のない私に配慮しつつ、あれやこれや世話をしたくて堪らないのが伝わってくるほどにね」
「リュシアナ様……もしも、そちらをお望みであるのならば……――」
「まさかっ! 不満があるから、言及しているわけではないの。むしろ感謝をしているくらいだわ」
「ですが……」

 そうね。こうして一つ一つ事柄を並べていくと、ミサを叱っているように感じるかもしれない。だから私は、ミサに向かってニコリと笑った。