「でもズルいです。リュシアナ様に仕えていた年数は、私の方が長いのに、ヴァレンティア卿が先だなんて……!」
「それはタイミングの問題で……」
「しかも、リュシアナ様に上着を貸すだなんて……まさか、あの噂は本気なのですか?」
「噂?」
なんのこと? と首を傾げると、今度はカイルが慌てて椅子から立ち上がり、手と首を横に振りながら近づいてきた。
「リュシアナ様が気にすることではありません。今は……そう、ミサ殿の占いに集中してください」
「そうね。これで有耶無耶になって、またミサから泣き言を聞かされたくはないもの」
「泣き言だなんて……リュシアナ様ぁ」
「分かったら上着の件も、噂の件も、あと。いいわね?」
「……はい」
そうミサに言ったものの、内心は私も気になって仕方がなかった。カイルが否定するほどの噂ってなんだろう。ミサが目くじらを立てるくらいだから、私にとってよくない話なのかもしれないから。
とはいえ、今は占いに集中しないと。ミサは私にとって、大事な大事な侍女なのだ。姉のような、友達のような、気の許せる存在。私が今、こうして笑っていられるのも、ミサとカイルのお陰なのだから。
私はカイルにした時のように、ミサにも椅子に座るように促す。カイルが座っていたからか、ミサも渋る様子はない。着席したのを確認した私は、テーブルの隅に置いたタロットカードに手を伸ばした。
「それはタイミングの問題で……」
「しかも、リュシアナ様に上着を貸すだなんて……まさか、あの噂は本気なのですか?」
「噂?」
なんのこと? と首を傾げると、今度はカイルが慌てて椅子から立ち上がり、手と首を横に振りながら近づいてきた。
「リュシアナ様が気にすることではありません。今は……そう、ミサ殿の占いに集中してください」
「そうね。これで有耶無耶になって、またミサから泣き言を聞かされたくはないもの」
「泣き言だなんて……リュシアナ様ぁ」
「分かったら上着の件も、噂の件も、あと。いいわね?」
「……はい」
そうミサに言ったものの、内心は私も気になって仕方がなかった。カイルが否定するほどの噂ってなんだろう。ミサが目くじらを立てるくらいだから、私にとってよくない話なのかもしれないから。
とはいえ、今は占いに集中しないと。ミサは私にとって、大事な大事な侍女なのだ。姉のような、友達のような、気の許せる存在。私が今、こうして笑っていられるのも、ミサとカイルのお陰なのだから。
私はカイルにした時のように、ミサにも椅子に座るように促す。カイルが座っていたからか、ミサも渋る様子はない。着席したのを確認した私は、テーブルの隅に置いたタロットカードに手を伸ばした。



