転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「ねぇ、カイル」
「なんでしょうか」
「トランプは、このカード、タロットカードのように、入手困難なものなの?」
「いいえ。騎士団や、城下にある酒場、カジノなどでも使われているものなので、容易に手に入れられますが……欲しいんですか?」
「うっ」

 思わず「うん」と言いそうになり、口を噤んだ。別にトランプがなくても、占いに支障はない。そもそも私は占い師ではないのだ。
 リーディング動画にハマり、タロットカードを購入。見よう見真似でやりながら、ネットを屈指して独学で勉強し始めた、初心者なのだから。

 そんな私がトランプを入手しても、タロットカードで手一杯なのに、使いこなせるとは思えない。せいぜいできるのは、普通に遊ぶくらいだ。

「では、取引をしませんか?」
「取引? いきなりどうしたの?」
「リュシアナ様は、俺に強請(ねだ)るのを躊躇(ためら)っているご様子だったので、こうすれば少しは罪悪感がなくなるかと思ったまでです」
「……だって、タロットカードを入手するのに、だいぶ迷惑をかけたから」

 まさか騎士団長まで、巻き込むとは思っても見なかったのよ。