転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「不備はございませんか?」

 テーブルの上に、タロットカード七十八枚を並べ終えたのにもかかわらず、反応を見せない私に、カイルが痺れを切らしたように尋ねてきた。

 受け取った時、包みを開けた時の反応からすれば、確かに薄く見えたのかもしれない。けれど内心は、二つの感情がせめぎ合っていた。

「大丈夫。全部揃っているわ」
「そう、なのですか? 俺には、これがどのようなカードなのか、分からないのですが……」

 つまり、この世界にはタロットカードがない、ということなのかしら。でも、カードという概念はある。

「カイルが知っているカードというのは、どういうものなの?」
「……トランプというもので、このカードのように、数字が書かれていますが、絵柄はもっとシンプルなものです」
「まぁ! 実はね、このカードの個々の部分は、トランプの元になった、といわれているのよ」

 私は大アルカナの下に並べた、小アルカナを指差した。