あとは……心強いから、かな。前世の記憶が戻ったから、余計に。でも、カイルの本業は騎士だものね。我が儘を言うわけには……。
「いえ、借りているのは、こちら側の方です」
「え?」
「グレティスに付けていた者が来られないため、団長様が代わりに届けてくださったのです」
カイルは手に持っていた包みを差し出した。触り心地が良さそうなネイビーの布に包まれたそれは、まさに私が望んでいた物と同じ大きさだった。厚みもまた、想像通り。
「お納めください」
「……ありがとう」
私は両手でそれを受け取り、そのまま胸の前で抱きしめた。物が小さいから、胸に両手を当てているように見えるかもしれない。しかしカイルには、私の嬉しさが伝わっていたようだった。
「これを先にお届けできて良かったです」
「あっ、そうよ。届けてくれた団長さんにお礼を言えなかったわ」
しかも名前すら知らない。リュシアナはお父様とお兄様から大事にされているから、何か手助けができるかもしれないのに……。
確か近衛騎士団長、とカイルは言っていたわよね。名前よりも、役職の方を重視するから、知らなくても大丈夫、かな。もしくは、あとでカイルに聞けば……――。
「いえ、借りているのは、こちら側の方です」
「え?」
「グレティスに付けていた者が来られないため、団長様が代わりに届けてくださったのです」
カイルは手に持っていた包みを差し出した。触り心地が良さそうなネイビーの布に包まれたそれは、まさに私が望んでいた物と同じ大きさだった。厚みもまた、想像通り。
「お納めください」
「……ありがとう」
私は両手でそれを受け取り、そのまま胸の前で抱きしめた。物が小さいから、胸に両手を当てているように見えるかもしれない。しかしカイルには、私の嬉しさが伝わっていたようだった。
「これを先にお届けできて良かったです」
「あっ、そうよ。届けてくれた団長さんにお礼を言えなかったわ」
しかも名前すら知らない。リュシアナはお父様とお兄様から大事にされているから、何か手助けができるかもしれないのに……。
確か近衛騎士団長、とカイルは言っていたわよね。名前よりも、役職の方を重視するから、知らなくても大丈夫、かな。もしくは、あとでカイルに聞けば……――。



