転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「んっ!」
「あっ、すみません。ですが、直接出られるのは、他に誰もいない場合にのみでお願いいたします」
「っ! 私ったら、ずっとミサとカイルがしてくれていたのに……ごめんなさい。さっき言われたばかりなのに、これとはね。本当、学習能力がないんだから」
「……そんなことはないですよ」

 むしろ目が離せない方がちょうどいいんですから。
 
「え?」
「いえ、なんでもありません」

 俺は逃げるように、扉へと近づいた。すると、相手も気配を感じたのか、コン、コココン、とノックの仕方を変える。

 これは俺が所属する、近衛騎士団の緊急の合図と同じリズム。つまり扉の向こうにいるのは、近衛騎士団の団員だと思った。

「まさか、団長自ら来られるとは……」

 それほどの緊急事態が起こったということである。もしかして……。