「あっ」
思わず声が出た。前方にあるのは、無造作に置かれた古本たち。中には地図のような折り畳まれた紙も混ざっている。間に挟まっている紙さえも、その一種だと錯覚してしまうことだろう。ましてやカードなど、栞に見えるかもしれない。
でも私には、はっきり見えた。探していたカードだと。中庭で見た、蔦の絡まったアーチの中にある女性像が脳裏を過る。
「シア様! 危ないです」
そんなミサの言葉さえも、今の私の耳には届かなかった。古本に近づき、間に挟まっているカードへと手を伸ばす。
「っ!」
カードの絵柄は、想像した通りのもの。その下に書かれた『THE WORLD』(世界)の文字もまた、私には見覚えがあった。
どこで……どこで見た? あぁ、思い出した。私の部屋だ。
リーディングの動画にハマって、占い師の真似事のようにカードを購入した。入門書を買うほど入り込んではいなかったから、ネットで占い方を調べたが、動画のようにカードを読むことはできなかった。
けれど買ったからには使いたい。使い続けたい意欲までは失せなかった。せめてもの足掻きのように、私は毎日、出勤前に一枚引いて、アドバイスをもらうようにしたのだ。
思わず声が出た。前方にあるのは、無造作に置かれた古本たち。中には地図のような折り畳まれた紙も混ざっている。間に挟まっている紙さえも、その一種だと錯覚してしまうことだろう。ましてやカードなど、栞に見えるかもしれない。
でも私には、はっきり見えた。探していたカードだと。中庭で見た、蔦の絡まったアーチの中にある女性像が脳裏を過る。
「シア様! 危ないです」
そんなミサの言葉さえも、今の私の耳には届かなかった。古本に近づき、間に挟まっているカードへと手を伸ばす。
「っ!」
カードの絵柄は、想像した通りのもの。その下に書かれた『THE WORLD』(世界)の文字もまた、私には見覚えがあった。
どこで……どこで見た? あぁ、思い出した。私の部屋だ。
リーディングの動画にハマって、占い師の真似事のようにカードを購入した。入門書を買うほど入り込んではいなかったから、ネットで占い方を調べたが、動画のようにカードを読むことはできなかった。
けれど買ったからには使いたい。使い続けたい意欲までは失せなかった。せめてもの足掻きのように、私は毎日、出勤前に一枚引いて、アドバイスをもらうようにしたのだ。



