それはどうやら私の杞憂だったらしい。思いの外早く、目的のお店にやって来た。
そもそもお忍びとはいえ、箱入り王女が、王宮からかなり離れた場所に行くこと自体、難しいのだ。今回の外出もそうだが、カリエンテ病に罹った時も、お父様とお兄様には秘密で抜け出していたと聞いた。
けれど目覚めた時、ミサも含めてお咎めはなかった。おそらく、私が無事に回復したからだろう。もしもそちらに気を取られていなかったら、お小言を食らっていたに違いない。
いや、もしくはあれが通常だったのだろう。事前にミサから聞いていても、緊張と驚きの方が勝り、私も気にしている場合ではなかった。
とはいえ、ミサを処分せず、カイルという護衛騎士をつけてくれたことには感謝している。
目的のお店を知っているのはミサだけだし、そこに辿り着くまで、不慣れな私は何度か人にぶつかりかけた。その度にカイルは私を守ってくれたのだ。前を行くミサは、お店の場所を思い出すのに集中していたから、余計に心強かった。
初めての場所は、ワクワクするのと同時に、緊張感も増す。おそらく、黒いフードを目深に被っているせいだろう。
そこからほんの少ししか見えないのに、寂れたお店だと分かる佇まい。活気のある市の中でも、そこだけ異様な雰囲気を醸し出していた。
とてもじゃないけれど、リュシアナのような人物が入るお店には見えない。
そもそもお忍びとはいえ、箱入り王女が、王宮からかなり離れた場所に行くこと自体、難しいのだ。今回の外出もそうだが、カリエンテ病に罹った時も、お父様とお兄様には秘密で抜け出していたと聞いた。
けれど目覚めた時、ミサも含めてお咎めはなかった。おそらく、私が無事に回復したからだろう。もしもそちらに気を取られていなかったら、お小言を食らっていたに違いない。
いや、もしくはあれが通常だったのだろう。事前にミサから聞いていても、緊張と驚きの方が勝り、私も気にしている場合ではなかった。
とはいえ、ミサを処分せず、カイルという護衛騎士をつけてくれたことには感謝している。
目的のお店を知っているのはミサだけだし、そこに辿り着くまで、不慣れな私は何度か人にぶつかりかけた。その度にカイルは私を守ってくれたのだ。前を行くミサは、お店の場所を思い出すのに集中していたから、余計に心強かった。
初めての場所は、ワクワクするのと同時に、緊張感も増す。おそらく、黒いフードを目深に被っているせいだろう。
そこからほんの少ししか見えないのに、寂れたお店だと分かる佇まい。活気のある市の中でも、そこだけ異様な雰囲気を醸し出していた。
とてもじゃないけれど、リュシアナのような人物が入るお店には見えない。



