「前に、姫様が度々城下に行かれていた、とお話ししたのを覚えていますか?」
「えぇ。カリエンテ病は、そこでもらってしまった、と。だからってミサのせいだとは思っていないわ」
「ありがとうございます。けれど私のとっては同じことです」
「なぜ? 誰もミサを責めていないのに」
思いつめないで、といったつもりだったのに、逆にミサは首を横に大きく振った。
「だからこそです。あの時、姫様を見失わなければ、このようなことにはならなかったのです」
「見失った? ミサが?」
「はい。普段から姫様は、私の目を掻いくぐって、どこかへ行かれていることがありまして……」
あぁ、中庭の件は、そういうことなのね。どうしてミサを連れずに一人で、と思ったけれど、なるほど。そういうことだったの。
部屋の隅にいるカイルへ視線を向けると、顔を逸らされた。
騎士なのに、そんなあからさまな態度をするなんて……共犯者とまではいかなくても、何か知っていると思われるわよ?
「えぇ。カリエンテ病は、そこでもらってしまった、と。だからってミサのせいだとは思っていないわ」
「ありがとうございます。けれど私のとっては同じことです」
「なぜ? 誰もミサを責めていないのに」
思いつめないで、といったつもりだったのに、逆にミサは首を横に大きく振った。
「だからこそです。あの時、姫様を見失わなければ、このようなことにはならなかったのです」
「見失った? ミサが?」
「はい。普段から姫様は、私の目を掻いくぐって、どこかへ行かれていることがありまして……」
あぁ、中庭の件は、そういうことなのね。どうしてミサを連れずに一人で、と思ったけれど、なるほど。そういうことだったの。
部屋の隅にいるカイルへ視線を向けると、顔を逸らされた。
騎士なのに、そんなあからさまな態度をするなんて……共犯者とまではいかなくても、何か知っていると思われるわよ?



