転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「一人になる時間がほしかったそうです。それには接点がほとんどない、俺みたいな通りすがりの騎士は、ちょうど良かった、とおっしゃっていました」
「……分かる気がするわ。今の私は右も左も分からないから、ミサとカイルの存在は助かっている。でも……なんでもない時なら」

 煩わしい、と感じるだろう。だけどそれを口に出すことは躊躇われた。

「俺もです。実は、家を出た理由がまさにそうでしたから」
「だから見張りを引き受けたのね」

 今の流れで断るとは思えなかったからだ。案の定、カイルは頷いた。

「騎士団での生活が窮屈だったので、その息抜きにここへ来る許可を条件に」
「まぁ! ここは誰かの許可が必要なの?」
「いいえ。ただここに来ると、いつもリュシアナ様がいらっしゃったので」

 良かった、という安心感と共に、二人だけの秘密を知らされて、なんだか複雑な気分になった。

 ミサがリュシアナを大事に思う理由は姫と侍女だけど。カイルの場合は護衛騎士の本分を超えた感情がありそうだと、薄々感じていた。まさか、そんなに深い部分で繋がっていたなんて……。