転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「それに、わざわざ私に内緒でミサを外したところも、かな。悪巧みというか、相手を出し抜く知恵を持っているんだもの。サボるための抜け道とか、知っていてもおかしくないわ」
「念のために言いますが、誰にも会わずに中庭へ行くルートを教えてくれたのは、リュシアナ様です」
「え?」

 私? じゃない、記憶喪失になる前の私だ。でも、なんで?

「始めに、ここでリュシアナ様をお見かけした、と言いましたよね」
「え、えぇ」

 私が動揺したことが、そんなに面白かったのか、カイルの口調が少しだけ崩れた。

「その時、ここのベンチに座っていらっしゃいました。俺はすぐに立ち去ろうとしたんですが……呼び止められ、今と同じように腰かけたんです」
「つまり、親しかったってことなの?」
「いいえ。ただ見張りがほしかったみたいです」
「どういうこと?」

 王女なのだから、わざわざ近くを通った騎士に頼まずとも、他に……そう、ミサがいるじゃない。