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「俺がここでリュシアナ様をお見かけしたのは、だいたい三年前のことです」
カイルは懐かしそうな顔で前を見据えながら、ゆっくりと語り始めた。
「当時の俺は、あまり褒められたような騎士ではなく。ただ家から出たい気持ちで入隊したからか、日々不真面目で、ここに来ていたのも、サボり目的でした」
「……うん。そんな感じがするわ。どちらかというと、そっちの方がカイルらしい、というか」
「そうですか?」
自分から言った割に、カイルは意外そうな反応をした。
「だって、ここに私を連れて来た理由を、ミサに相談していないでしょう?」
「……はい。なぜ、分かったのですか?」
「簡単よ。中庭に行く話が出た時、ミサは渋っていたもの。私がまだ、部屋の外に行くことをよく思っていなかった、というのもあるけれど、裏手に訓練場があることに反応していたでしょう? 事前に相談していたら、あんな反応はしないわ」
ニコリと笑ってみせると、カイルは逆にギクッという表情をした。けれど私は構うことなく言葉を続ける。
「俺がここでリュシアナ様をお見かけしたのは、だいたい三年前のことです」
カイルは懐かしそうな顔で前を見据えながら、ゆっくりと語り始めた。
「当時の俺は、あまり褒められたような騎士ではなく。ただ家から出たい気持ちで入隊したからか、日々不真面目で、ここに来ていたのも、サボり目的でした」
「……うん。そんな感じがするわ。どちらかというと、そっちの方がカイルらしい、というか」
「そうですか?」
自分から言った割に、カイルは意外そうな反応をした。
「だって、ここに私を連れて来た理由を、ミサに相談していないでしょう?」
「……はい。なぜ、分かったのですか?」
「簡単よ。中庭に行く話が出た時、ミサは渋っていたもの。私がまだ、部屋の外に行くことをよく思っていなかった、というのもあるけれど、裏手に訓練場があることに反応していたでしょう? 事前に相談していたら、あんな反応はしないわ」
ニコリと笑ってみせると、カイルは逆にギクッという表情をした。けれど私は構うことなく言葉を続ける。



