転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

 中庭への道のりは、意外とあっさりしたものだった。人目につかない道だというから、てっきり……。

「もっと険しい道だと思ったけど、普通に建物の中で驚いたわ」
「どのような道を想像していたのかは……おおよそ見当はつきますが」

 やはり呆れられたのか、隣からため息が聞こえてきた。

「リュシアナ様を、そのようなところにお連れする気はありません」
「……ありがとう」

 護衛騎士としてのカイルの返答は正しい。お父様とお兄様の態度を見ていると、私に何かあれば即クビにされることは間違いないだろう。
 騎士として、王族の専属護衛に抜擢されるのは名誉なことなのだ。その腕を買われたのに、些細な出来事でカイルの将来を潰されるなんて……私も望んではいなかった。

 それなのに、繋がれた手から感じる温もりに勘違いしてしまいそうになる。目覚めてからミサとカイルが私を支えてくれたから、そう感じるのかもしれない。でも……。

「無事に中庭の入り口に着いたのだから、もう手を離しても大丈夫よ?」

 なぜか疑問形になった。それはカイルの顔がそう語っていたからだろう。