転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「まぁ! 珍しい。近衛騎士団長が来るなんて」
「お久しぶりです」

 照れくさそうな近衛騎士団長の姿に、もしやと思ったら、口元が緩んでしまった。私はそれを隠すように手を当てた。

「いよいよ挨拶に来てくれたのかしら」
「ひ、姫様っ!」
「あら、違うの?」
「実は……プロポーズをしたのですが、返事を渋られていまして」

 それは、どういうこと? とミサを見上げるが、案の定、逸らされた。おそらくその原因は私なのだろう。それで近衛騎士団長は私にミサの説得をお願いに来たのだ。

「どうやらこれは、占う必要のない案件ね。詳細が分かったら知らせるわ。それで構わないかしら」
「はい。お願いします」
「それじゃ、カイル。近衛騎士団長の見送りをお願いね。私はミサと、大事な話があるから」
「姫様!」

 私はカイルに目で合図をして、問答無用でミサを椅子に座らせた。シュンとなっている姿は、普段のお姉さんらしいミサとは違い、可愛らしく思える。しかし今は近衛騎士団長のために、心を鬼にした。