転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「だからそんな顔はするな。手紙も、この列が引いた時に渡せばいい。父上もまた、リュシアナの判断を受け入れたのだ。そのくらいの覚悟はあるさ」
「そうですね」

 あの時、お父様は私に委ねてくれたのだ。トリヴェル侯爵とエリーゼ様、そしてお姉様への裁きを。

「リュシアナは逆に、この混乱で不安になった者たちのために、占いをしてやってほしい。占い部屋として与えた部屋は、すぐに使えるようになっているからな」
「っ! よ、よろしいのですか? 私の占いのせいで、お姉様があのような行動に出たのに」
「昨日、謁見の間で言っていたではないか。人を不幸にするためのものではない、と。幸せになるための背中を押している、と。あれは嘘だったのか?」
「いいえ」
「リュシアナ。公務ではなくても、王女として民を支えることはできる。そうだろう?」
「はい。ありがとうございます、お兄様」

 そうだ。私には占いがある。お姉様のように、自分のやったことを棚に上げて、何もさせてもらえない、と悲観的になるところだった。
 今回の騒動を起こしてしまったのは、私にも原因がある。だからこそ、占いで還元しよう。

「参りましょう、リュシアナ様。皆がリュシアナ様の占いを待っています」
「それは買いかぶりよ、カイル。でも、本当にそうだったらいいな」

 私は再び、カイルと共に来た道を歩き出した。お兄様と、お父様の執務室に背を向けて。