転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「どうかなさったのですか?」
「どうもこうも……ここはどこ? なんで上等なベッドにいるの?」
「それは姫様だからで……まさかっ!」

 茶色い髪の女性が、両手で口元を隠して驚いている。黒いワンピースに白いフリルのついたエプロンをしているところから、メイドだろうか。

 姫に、メイド……。驚いているのはこっちなのに、なんなの? ここはどこ?

 質問をしたかったが、メイドらしき女性がさらに近づいてきて、それどころではなくなった。私の方へと手を伸ばしてきたからだ。

「失礼します」

 咄嗟に目を瞑った。怠さが抜けない体でできるのは、それくらいだったからだ。すると突然、額にヒヤリと冷たい感触がした。それが彼女の手だと知ったのは、次の言葉を聞いた後だった。