「だけど、あなたを窮地に追いやったのもまた、お姉様よ」
「それは違います。私が娘を……周りの言葉に乗って、娘を嫁がせたのが原因なのです。クラリーチェ殿下は、愚かな私の被害者ともいえましょう」
「……だが、不自由な想いをさせてはいなかった」
「どこがよ!!」
突然、背後からお父様の言葉を否定する、大きな声が聞こえた。振り返ると、汚れたドレスに身を包んだお姉様の姿があった。赤褐色の髪の毛を後ろで一つにまとめているが、綺麗とは言い難い。
「皆に煙たがれ、陰口を叩かれる。公務もさせてもらえないから穀潰しだと言われる始末。これのどこが不自由じゃないっていうのよ!」
「オクタヴィアを殺害した人間に、公務を任せると思うか!」
お姉様の茶色い瞳とお父様の水色の瞳がにらみ合う。しかし謁見の間では、事情を知らない者たちからの驚きの声が上がっていた。
「王妃様を殺害!?」
「ではやはり……」
「いや、今の話だとエリーゼ様ではなく、クラリーチェ殿下の方ではないか?」
その声に戸惑っているのは、エリーゼ様だけで、お父様とお姉様は微動だにしていなかった。つまり、二人とも覚悟ができているということである。それならば私も、と貴族たちに向かって口を開いた。
「それは違います。私が娘を……周りの言葉に乗って、娘を嫁がせたのが原因なのです。クラリーチェ殿下は、愚かな私の被害者ともいえましょう」
「……だが、不自由な想いをさせてはいなかった」
「どこがよ!!」
突然、背後からお父様の言葉を否定する、大きな声が聞こえた。振り返ると、汚れたドレスに身を包んだお姉様の姿があった。赤褐色の髪の毛を後ろで一つにまとめているが、綺麗とは言い難い。
「皆に煙たがれ、陰口を叩かれる。公務もさせてもらえないから穀潰しだと言われる始末。これのどこが不自由じゃないっていうのよ!」
「オクタヴィアを殺害した人間に、公務を任せると思うか!」
お姉様の茶色い瞳とお父様の水色の瞳がにらみ合う。しかし謁見の間では、事情を知らない者たちからの驚きの声が上がっていた。
「王妃様を殺害!?」
「ではやはり……」
「いや、今の話だとエリーゼ様ではなく、クラリーチェ殿下の方ではないか?」
その声に戸惑っているのは、エリーゼ様だけで、お父様とお姉様は微動だにしていなかった。つまり、二人とも覚悟ができているということである。それならば私も、と貴族たちに向かって口を開いた。



