「では、お父様にお願いがございます。その者らに指示を出し、我がアルフェリオン王国に戦争を仕掛けた者を先に裁かせてください」
「っ! リュシアナ殿下! 私は誰かの指図など受けてはおりません!」
「トリヴェル! 発言を許可した覚えはないぞ」
お父様の声よりも先に、トリヴェル侯爵の後ろに控えていた騎士が、乱暴に取り押さえた。私に叫ぶだけではなく、向かって来ようとしたからだ。
勿論、私はカイルが前に出ていたお陰で何もないけれど……だからこそ、冷静にトリヴェル侯爵に向き合うことができた。
「指図を受けていないというのなら、なぜ私を狙ったの? エリーゼ様もまた、私の命を狙っていたのかしら」
「娘にそのような度胸はありません!」
咄嗟に出た言葉だったのだろう。トリヴェル侯爵は言い放った後、しまったという顔をした。だが、もう遅い。
「では、トリヴェル侯爵が私を狙った理由は何かしら? 私とあなたの共通点はお姉様とエリーゼ様だけ。けれどエリーゼ様ではない、というのなら、やはりお姉様しかいないわ」
「しかし……」
「お姉様を庇いたいのは分かるわ」
ノルヴィア帝国へ輿入れる前に、王宮でわざわざ結婚ブームを起こさせた人物だ。お姉様の幸せを願っていなかったわけではないだろう。
「っ! リュシアナ殿下! 私は誰かの指図など受けてはおりません!」
「トリヴェル! 発言を許可した覚えはないぞ」
お父様の声よりも先に、トリヴェル侯爵の後ろに控えていた騎士が、乱暴に取り押さえた。私に叫ぶだけではなく、向かって来ようとしたからだ。
勿論、私はカイルが前に出ていたお陰で何もないけれど……だからこそ、冷静にトリヴェル侯爵に向き合うことができた。
「指図を受けていないというのなら、なぜ私を狙ったの? エリーゼ様もまた、私の命を狙っていたのかしら」
「娘にそのような度胸はありません!」
咄嗟に出た言葉だったのだろう。トリヴェル侯爵は言い放った後、しまったという顔をした。だが、もう遅い。
「では、トリヴェル侯爵が私を狙った理由は何かしら? 私とあなたの共通点はお姉様とエリーゼ様だけ。けれどエリーゼ様ではない、というのなら、やはりお姉様しかいないわ」
「しかし……」
「お姉様を庇いたいのは分かるわ」
ノルヴィア帝国へ輿入れる前に、王宮でわざわざ結婚ブームを起こさせた人物だ。お姉様の幸せを願っていなかったわけではないだろう。



