「ふふふっ。あまり心配をかけてはダメよ」
「大丈夫です! 姫様第一なのを承知で、お付き合いしているんですから。文句を言われたら別れます!」
「み、ミサ!」
近衛騎士団長が慌てて駆け寄る。忠誠心が篤いのはいいけれど、さすがにこれは……責任重大だ。下手な行動を取ると、近衛騎士団長がトバッチリを受けてしまう。
「リュシアナ様。お帰りを待っているのは、ミサ殿だけではありません。早く顔を見せに行きましょう」
「……そうね」
次に出てくるミサの言葉が「一生独身でいます!」になったら、私の方が一生、近衛騎士団長に顔向けできない。ここはそそくさと退散するに限る。
いや、戦場に行く、の間違いかもしれなかった。
「陛下も、リュシアナ様の無事を確認したいと思っているはずです」
「そう、ね」
ここにお姉様もいるのなら、お父様は待っているのかもしれない。私は手紙とタロットカードの入ったショルダーバッグに手をかけた。離宮からここまで、片時も離さずに肩にかけていたショルダーバッグを。
今の私にとって、まさに帯刀しているのと同じことだった。
「行きましょう、カイル。謁見の間へ」
「大丈夫です! 姫様第一なのを承知で、お付き合いしているんですから。文句を言われたら別れます!」
「み、ミサ!」
近衛騎士団長が慌てて駆け寄る。忠誠心が篤いのはいいけれど、さすがにこれは……責任重大だ。下手な行動を取ると、近衛騎士団長がトバッチリを受けてしまう。
「リュシアナ様。お帰りを待っているのは、ミサ殿だけではありません。早く顔を見せに行きましょう」
「……そうね」
次に出てくるミサの言葉が「一生独身でいます!」になったら、私の方が一生、近衛騎士団長に顔向けできない。ここはそそくさと退散するに限る。
いや、戦場に行く、の間違いかもしれなかった。
「陛下も、リュシアナ様の無事を確認したいと思っているはずです」
「そう、ね」
ここにお姉様もいるのなら、お父様は待っているのかもしれない。私は手紙とタロットカードの入ったショルダーバッグに手をかけた。離宮からここまで、片時も離さずに肩にかけていたショルダーバッグを。
今の私にとって、まさに帯刀しているのと同じことだった。
「行きましょう、カイル。謁見の間へ」



