転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

 その歓迎振りが、ケルト十字で占った時に出た、私の置かれた立場、皇帝と重なる。さらに周囲の状況で出ていた、ソードのクイーンの逆位置とも。

 民が、皆が私を担ぎ上げる。お姉様へ剣を向けることを望んでいるように思えてならなかったのだ。玉座に座り、剣を空へと向ける、ソードのクイーン。逆位置だったけれど、まるで私が座っているかのように感じた。

「リュシアナ様、大丈夫ですか? 顔色が悪いようですが」

 馬車の中で、隣に座るカイルが私の顔を覗き込んだ。歓迎してくれているとはいえ、一度は暴徒化した民たち。そのため、私の護衛騎士であるカイルも、共に馬車の中にいたのだ。

「ちょっとプレッシャーを感じてしまって。あと……お姉様と向き合わなければならない、と思うと余計に、かな」
「嫌なら、陛下に掛け合いますが」
「ううん。大丈夫。だって私がお姉様を廃妃にさせ、罪人にしたのだから、その責任は取らないと」

 そうだ。私はその証拠である手紙を所持している。タロットカードも一緒に入っているショルダーバッグの上に乗せた手に、自然と力が入った。これがなければ、お姉様を裁くことはできない。民たちも収まらないだろう。

 お姉様は戦争を仕掛けた人物として拘束されている。ならば私も、噂を流した人間として事を収束させる義務があるのだ。

 お祭り騒ぎのような歓声の中、私とカイルを乗せた馬車は王宮へと入っていった。お父様とお兄様、そしてお姉様がいる王宮へと。