転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「近衛騎士団長。あなたの想いも分かったわ。だからこそ、一日待ってもらいたいの」
「リュシアナ殿下」
「大丈夫。逃げるつもりはないから。ただ、覚悟を持つための時間がほしいだけなのよ」
「分かりました。決心がつきましたら、お声がけください。いつでも出発できる準備を、こちらでしておきます」
「えぇ、よろしくね」

 カイルは不満そうな顔で、近衛騎士団長を見送りに行った。

 私は、というとベッドサイドに置かれた、書き物机の引き出しを開けた。ここはお母様の保養地ということもあり、王宮で使用している書き物机と似た物が部屋に置かれているのだ。私の部屋にあった物と違う点は、鍵をかけられないところである。

 引き出しを開けて、中からネイビーの布に包まれたタロットカードを取り出す。

「そういえば、私自身のことを占うのは、今回が初めてかもしれないわね」

 カードで占いができることを信用してもらいたくて、カイル、ミサと占い。その後は王宮の者たち。今は離宮の者たちを占っている。

「なんだか変な感じ」

 クスリと笑いながら、テーブルにネイビーの布を広げた。