転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~

「ありがとうございます。それで早速、本日ここに来た用件をお話させていただいてもよろしいでしょうか」
「えぇ。ノルヴィア帝国との戦争があるのにもかかわらず、あなたがここに来たのだもの。何かよほどのことがあったのでしょう?」
「ご明察の通りでございます。ここ最近、国中に出回る噂により、民が暴徒化。それは我が国だけでなく、ノルヴィア帝国でも起こり、戦争どころではなくなりました」

 噂の内容を言わないところから、発案者が私だと分かっているのね。

 近衛騎士団長は私の様子を窺いながら、話を続けた。

「我がアルフェリオン王国とノルヴィア帝国は、暴徒化した民たちを抑えようとしたのですが、さらに悪化するばかり。結果、ノルヴィア帝国は戦争を企てたとされる重要参考人物、クラリーチェ皇太子妃殿下を廃妃。我が国に引き渡しました」
「つまり、お姉様を引っ張り出すことに成功したのね」
「リュシアナ殿下の策が、見事に功を奏しました。この度はその報告と、王宮に戻っていただきたく、参じました」
「王宮に?」
「クラリーチェ殿下を捕らえた以上、トリヴェル侯爵に何ができましょうか」

 確かに。お姉様に従っていたのは、甘い汁を啜るため。孫可愛さでやったとは思えない。もしも後者だとしたら、もっと早く、何かしらの手を打っていたからだ。

「それに、此度のことは陛下もリュシアナ殿下に見届けたい、とおっしゃっておられました」
「見届けって、まさか! リュシアナ様に見せる気ですか!?」

 お姉様の処刑を。最後までカイルは言わなかったが、二人が言いたいことは理解できた。だから……。

「一日だけ待ってもらえる? 少し……考えたいの」